海軍の撃墜王坂井三郎を描く作品。
坂井は、藤岡弘で、少しかっこよすぎる。冒頭で本人も出てくるが、脚本の須崎勝弥によれば、坂井は非常に粘着質の粘り強い人間で、そうでなければ最後まで生き残れなかったとのことだ。
坂井がラバウルに来るところから始まるが、戦局は次第に悪くなる。
乗務員とのドラマが中心となるが、彼は下士官の務めとして、どんなことをしても生きのこることを部下にいう。
搭乗員の養成には一番に金と時間が掛るので、乗員の安全が一番に大事だからだ。
部下の一人が、伊藤敏孝で、多くの作品に出ていた子役だが、この辺が最後になったのだろう。
彼も、上官機をかばう為に撃墜されてしまう。
その姉が看護婦の大谷直子で、非常に色っぽく、部隊に来るが、全員発情しないか心配になる。
途中で、米軍による対ゼロ戦攻撃法の「一撃離脱」、さらにゼロ戦が米軍機に対抗する新戦法なども解説され、この辺は他にないものだろう。
最後は、米軍のサザーランドとの空中戦になり、坂井は目をやられるが、なんとか基地に帰還できる。
この映画は、実際に館員となった、熊本の天下一家の会(ネズミ講)の資金で作られたので、公開後、あまり上映されないのは、不幸なことである。
部隊の指令の丹波哲郎がいつもの調子で笑える。