ユーチューブを探していたら、溝口健二監督の『楊貴妃』があったので、見る。
映像はよくないが、最後まで見てしまう。
溝口の晩年の作品で、評価は低いが、中盤で、后となった楊貴妃が、玄宗皇帝と祭りに出て楽しむシーンは面白い。
同じ溝口の『新・平家物語』の祇園祭のシーンに比べれば落ちるが、やはりすごい。
大群衆のシーンは、この頃の日本映画の独壇場だと思う。
ここでも、様々な民族の舞踊が出てくるが、これには当時の「国民文化論」の影響もあるように見えた。
「国民文化論」とは、戦後日本で盛んになった議論で、上層の文化ではなく、民衆の文化、特に民衆の舞踊などを高く評価し、再創造する動きだった。
これには、戦後の文化の解放が大きく作用していると思われ、それが溝口の作品にも取り入れられていると私は思った。