昭和18年、故郷で出征するために、大学生のしげる・葉山良二が豊岡に向かう車中で、彼は幼馴染のつぶら・芦川いづみを思いだしている。
町の元は藩の御殿医の家系の娘の芦川は、小児まひで、つねに椅子に座って外を窓から見ている。
葉山は、芦川の唯一の友達で、一緒に遊んでいる。
芦川の父は宇野重吉で、障害者の芦川を隠していて、外に出すのを異常に嫌っているが、戦前の地方ではそんなものだったろう。
宇野には、株仲買人の下條正巳が来ていて、株を買わせている。
また母親の村瀬幸子は、芦川にやさしくしてくれるが、宇野の前には従順でいるしかない。
葉山は、豆腐屋の女中時江から神社の中で性的誘惑をされるが、ここは描かれない。この時江は、後に水原英子となる少女のようだ。
戦争で、葉山は戦場に行くが、なんとか生き延びる。
また、下條は、芦川の兄の友人の金子信夫と一緒になって宇野の資産を横取りする。
そして、豊岡に戻って来たその日、芦川は、その金子信夫のところに嫁入りする日だった。
金子は、遊び人で時江と駆け落ちしたこともあるいい加減な男だが、戦時中は軍需工場で儲け、戦後は料理屋をやって、すぐに県会議員になる。
そこに時江が戻ってくるが、ここから渡辺美佐子になり、彼女は、金子の暴力から芦川を守ってくれる。
そして、金子が外に遊びに行った時、渡辺の手引きで葉山は、芦川の部屋に来て二人は再会する。
大学を卒業した葉山は、新聞社に入り、東京で結婚したが、芦川に東京に来いという。
だが、東京行きを拒否した芦川は、皆が去ったのち、一人で自殺する。
本当に芦川いづみにぴったりの役柄であり、筋の問題はほとんど気にならなかった。
原作は藤井茂夫、監督は滝沢英輔で、抒情的な作風に合っている。
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