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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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島村抱月以来だが・・・

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コロナウイルス騒ぎは、まだ収まりそうもない。
志村けんが亡くなったのは、大変に残念なことで、彼は実は大変な勉強家で、世界中の喜劇の資料映像を見ていたとのことだ。
さもありなんと思う。
さて、100年前のスペイン風邪のとき、日本では作家・演出家の島村抱月が亡くなっている。
そして、島村の愛人で、芸術座の看板女優だった松井須磨子が後追い自殺している。
この松井須磨子さんは、かなり変わった人だったらしい。
彼女の演技を見ることはできないが、歌声は聞くことができる。
有名な『カチューシャの唄 復活唱歌』で、今はネットで聞くことができる。



正直に言って下手であり、もっと強く言えばほとんど音痴である。
だが、この京都のオリエントという会社で吹き込まれたレコードは大変に売れたそうで、日本最初の大ヒットレコードである。
なぜ売れたかといえば、私は彼女の唱法が非常に下手で素人くさかったことが、その原因だと思っている。
大正時代の当時、歌舞音曲をする女性はいたが、芸者の他、長唄、義太夫、常磐津など、すべては「玄人の女性」がするものだった。
素人の普通の女性が人前で歌うという習慣はなかったのである。
そこに出てきたのが、素人くさい松井須磨子の歌で、これが大変に受けたのだと私は思う。
日本人は、AKB48のように素人くさい芸を愛好する傾向がもともとあるのだが。

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