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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『木枯し紋次郎』

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,テレビの『木枯し紋次郎』はほとんど見ていない。理由は、丁度テレビが始まったときが、市に就職したときで、まじめにやろうと思っていたので、こうしたアウトローものは避けていたのだと思う。
このところ、テレビは「コロナウイルス」ばかりで見る気がしないので、CSの『木枯し紋次郎』を見ている。
最初は、監修の市川崑が監督したが、後は森一生、大州斎、池広一夫と元大映の監督、撮影が宮川一夫、森田富士郎、美術が西岡善信と一流である。
大映と日活は、60年代末にダイニチ映配もやったが駄目で、日活はポルノに行き、大映は倒産後は、このようにテレビ映画で生き抜いたわけだ。

冒頭のタイトルシーンは、市川崑で、非常に凝ったカット、ストップ、画面分割等があるが、どれも本編は正統的な作りである。
今日は、『湯煙に月は裂けた』は、脚本大野靖子、監督池広一夫。
紋次郎は足を負傷して医者の治療を受けているが、岸久美子が自分の実家に行こうと言う。
実家は、伊豆の小さな温泉で、そこに治療したら良いと言う。
岸は、紋次郎に助けられたと言うが、なにかは描かれていない。

                

                   
一方、天保の飢饉で、夜盗の群れが暗躍していて、首領の井上昭文は、手下の長谷川昭男の言う、故郷の温泉に行くことにする。
紋次郎は、湯で治療しているが、なかなか治らないところに、井上ら12人が温泉村にやってきて乱暴狼藉を働く。

       
村人は自分を守るのに精いっぱいで抵抗せず、紋次郎は一人づつ殺すことになる。
この構図は、黒澤明の『七人の侍』にも似ているが、侍は紋次郎一人である。
彼は、連中を一人づつ殺してゆき、最後は井上も、さらに温泉場で、長谷川も殺す。
湯面に写っていた月の影に長谷川の体が落ちて、消す。
その時、岸久美子は、紋次郎を「人殺し!」と叫ぶ。
彼は、元は飾り職人で、岸の許嫁だったのだ。
最後の映像は、池広らしい凝った画面だった。
日本映画専門チャンネル


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