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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『大暴れ東海道』

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1959年の松竹京都作品、主演は高田浩吉で、嵯峨三智子、北上弥太郎、宮城千賀子などが出ている。
浅草の芝居小屋で、宮城が踊っていて、その小屋に姫の富士真奈美が飛び込んでくる。タイトルだと富士は、NHKと出ている。
NHKは、テレビもラジオも専属俳優を持っていたのだ。富士は、小林千登勢、馬淵晴子と並びNHK三人娘と呼ばれていた。

さて、浅草には遠山金四郎の高田がいて、なにをしているのか分からない身分でごろごろしている。
富士は、岡崎藩の姫であり、それを追う悪人連中がいて、それから逃れるために彼女を連れて岡崎に行くので、東海道なのである。
田崎潤とトニー谷の弥次・喜多、大道易者の横山エンタツ、宮城以下の一座の連中、さらに女スリの嵯峨、鼠小僧の北上ら全員が岡崎に向かう。
悪人の頭目は、江戸家老の石黒達也というのがうれしい。
監督は渡辺邦男だが、要は芸達者な者を集めて、その適役の役で演じさせるというやり方なので、極めて面白く見える。
これに、江戸から丹下茶膳の伴淳三郎まで行くのだからすごい。
もっとも、この時期松竹京都の最大で唯一のスターは、高田と伴だったのだから、仕方ないのだが。

岡崎に行くと殿様は、柳谷金語楼で、仮病を装って配下の動きを探っていた。
ラストは、金四郎が「桜の刺青が見えないか!」というが、
石黒は「偽金四郎だ」と否定する。
その時、遠山左衛門の榎本健一が現れて「わしの息子だ!」と言って一件落着。

渡辺邦男は、東宝ストでの「反共の闘士」が有名だが、早稲田大学時代は、建設者同盟で、元は人民主義者なのだ。
事実、助監督だった石井輝男によれば、渡辺は「俺が一番撮りたい映画は、マルクスの『資本論』だよ」と言ったので、びっくりしたとのことだ。
 
衛星劇場

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