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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『夫婦善哉 東男京女』

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1996年に勝新太郎が全国で公演した劇のビデオ、私も神奈川県民ホールで見ていてひどいと思ったが、今回見てみると結構きちんとしていたことに気づく。
大阪の新歌舞伎座公演が主のようだが、ラストの挨拶は、春日部のようだ。

      

話は、織田作之助の『夫婦善哉』とは関係なく、華族有方伯爵の息子の勝が、左翼的演劇の連中を助けたり、父親の囲い者の芸者中村玉緒と結婚したりする。
大阪の関東煮での祝いの場で、「親子ドン」を注文する勝が最高。
有方家の執事で、初めは勝の味方だが、本当は勝を廃嫡させようとしているのが遠藤辰雄と結構配役も悪くない。
ただ、勝がなんでも金を気楽に渡すので、ドラマにならない。
これを見ても本当に分かるのは、勝がたえず新しいものを求めていることで、大阪の部屋で、隣から文楽の三味線が聴こえて来て、そのリズムで踊るところなど随所にある。

ただ、問題は、すでに体の具合が良くなかったのか、アクションがほとんどないことで、劇に爽快さがない。
仕方なく、突然勝が洋楽を歌ってみせるが、実際に見た時もそうだったが、違和感を感じる。
もともと御簾内の人だった勝は、舞台を結構やっているが、残っているものは少ないようで、貴重な映像だろう。
一つだけ気になったのは、宗右衛門町のカフェのシーンがあったが、置いてある蓄音機がラッパ型だったこと。
こうした歓楽場は、新し好きで、最新の物を置くので、昭和7年だと国産でも電蓄が出ているので、おかしいのだが。
日本映画専門チャンネル

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