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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『空白の900分 国鉄総裁怪死事件』

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1949年夏、国鉄総裁の下山貞則氏が昼間行方不明になり、翌日常磐線で弾かれた死体が見つかる。

        

言うまでもなく、戦後史の怪事件として、多くの本が出され、映画も何回も製作された。
要点は、自殺か他殺で、新聞社も両説に割れ、警察も分かれたようだ。
前後2編で、前半は事件の経緯で、後半は他殺の証拠、血液反応が出てきて、それを基に再捜査しようとする捜査二課の刑事の佐野浅夫と新聞記者寺田農が中心となる。
この時期は、すでに松本清張によるGHQ真犯人説が出ているので、それを示唆するようなところもある。
さらに、熊井啓監督の『日本の熱い夏』では、完全にGHQ犯人説で全編が出来ている。
まことに困ったことだと思う。

私は、下山総裁は、自殺されたのだと思う。
国鉄人員整理遂行の苦悩、GHQ、政府との板挟みの中で次第に追い詰められて精神的に苦境に立ち、ノイローゼ状態になり、自殺したのだろう。
もちろん、法医学鑑定では死後轢断との結論という問題はあるのだが。
当時と、現在の法医学のレベルは違うので、もし現在で起きた事件だったら、沢口靖子の手で無事解決されたであろうと思う。
私は、この事件について、他殺説が根強くあるのは、国鉄総裁のような偉い人が自殺するはずがないという思い込みがあったと思うのだ。
確かに、当時日本国有鉄道は、現在のJRとは比較にならない偉い組織であり、その総裁と言えば、非常に偉い人だった。
だから、そんな方が自殺するわけはないという思い込みがあったのだ。
現在では、どんな人でも精神的に追い込まれ、自殺することがあるのは誰も知っている。

もう一つ、このNHKドラマを見て感じたのは、製作された1980年頃は、主人公の小林桂樹、運輸大臣の平田昭彦、記者の三上真一郎のような映画スター、絵沢萠子、竹田かほりのような日活ロマンポルノ出の俳優、そして寺田をはじめとする新劇俳優などが混在し、充実していたなと思うのだ。
この1980年代頃が、日本のテレビの全盛時代だったなあと思った。

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