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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『忘れられた映画 ひろしま』

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ETVで、関川秀雄監督の『ひろしま』について制作と公開の事情が放送された。
随分と間違いの多い番組だと思う。
この映画は、当初配給予定だった松竹からは公開されず、細々と公開されたいうのだ。
それがまず大違い、独立系の新星映画社から配給されて、それなりに公開されたのだ。
ものを知らないというのは恐ろしいもので、関大の永井という先生に至っては、「オクラ」とさえ言っているが、大間違えである。



解説の佐藤忠雄先生が言っているように、作品としては悪くない。
私は、数年間に調布の市民ホールで見たが、結構面白い映画である。ただ、この映画で一番盛り上がっているのは、戦時中のシーンであり、明治以降の近代史で戦争が最大の国民的イベントであったことを教えてくれる。富国強兵が最大のスローガンだったのだから、当然だろう。
この映画の原作を基にしたのには、新藤兼人の映画『原爆の子』があり、これは主人公の乙羽信子が教え子を訪れる映画で、『ひろしま』に比べれば地味な出来である。
だが、1960年代になり、「原爆映画」というと、新藤兼人『原爆の子』だった。

そうなってしまった理由は、二つある。
一つは、『ひろしま』を配給した新星映画社がなくなってしまったこと。
もう一つは、監督の評価の差である。
新藤兼人は、脚本家としての名声を基に、近代映画協会で多数の映画を作り監督としても評価を上げていく。
一方、関川秀雄は、東映東京でつまらないアクション映画監督になってしまい、ついには松竹大船では、大ヒット映画『いれずみ無残』を正・続編を2本も作るなどの状態になる。仄聞するところでは、アルコール依存症的な状態だったようだ。

こうしたところまで描かなくては、この映画の意味はないと私は思うのだ。
唯一、意味があるとすれば、米国のNPOの力で、『ひろしま』がデジタル化されたとのこと。
アメリカは、やはりすごいと思う。



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