初代松本白鴎主演の『鬼平犯科帳』を見ていたら、盗賊団の頭目として植村謙二郎が出ていた。第62話「罪ほろぼし」(1970年) - 研源である。
飾職人が殺され、そこから大商店を狙ったいる盗賊団の姿が分かってくる。商店主は、小栗一也で後妻は馬淵晴子だが、これが盗賊団が入れた女で、若い手代とできている。そこを狙っている盗賊団の頭目で、一応刀の砥師をやっているのが植村である。
やはり、特異な顔つきで一度見たら忘れない顔であり、元は大映の悪役で、黒澤明の『静かなる決闘』では、梅毒患者のギャングを演じているので憶えている方も多いと思うが、晩年は日活でも悪役をやっていた。
最後、植村は小栗の店に押し入り、小栗が実は盗賊であることを暴き、殺害しようとするが、その時松本白鴎の部下の火付け盗賊改めが来る。
そして殺陣の場となって全員御用となるが、さすがに白鴎はあまり動かない。
ともかくその貫録で、池波正太郎に「一番平蔵らしい」と言わせただけのことはある。東宝の脇役の堺佐千夫が、なんにでも化けて捜査するが、まるで多羅尾坂内みたいだなと思う。
この人も好い役者だったが、だいぶ前に亡くなられた。岡本喜八映画の常連だったが。