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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『犯罪6号地』

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東京の石炭埠頭で男が射殺される。この石炭の山の埠頭は、確か豊洲あたりにあったもので、日活の名作『錆びた鎖』のラストシーンに出てきて、ナイフが石炭の山に刺さるシーンになっている。

刑事の高松英郎は、上野周辺の愚連隊などを捜査するが、その中で名曲喫茶が出てくる。名曲喫茶は、東京に沢山あったもので、私が女の子と最初にデートしたのも、渋谷のランブルだった。

今や、名曲喫茶もジャズ喫茶と同様、絶滅危惧種化しつつあるが、レコードが高価で買えなかった時代の産物で、スマフォでなんでも聞ける時代では仕方ないことだろう。

                   

指紋照合、顔写真検査等の捜査の詳細が描かれ、リアリズム的な描写が良く、ダサいと言えばダサいが、同様のジャンルでもどこかスマートな日活と比べ、泥臭さがリアルな描写になっている。

監督の村山三男は、『氷雪の門』しか記憶されていないが、重厚な描写が良い人だった。

次第に黒幕が判明し、要は外人の悪党集団で、アジトは埋立地6号だとなる。

だが、見るところ、その場面は背景の発電所と特徴的な石垣から品川ふ頭とお台場と思え、この2か所で撮影して1か所のようにつなげたようだ。

6号と言うのは、当時6号台場と言ったので、「犯罪6号地」となったのだろうと思う。

そして、最後高松の捜査に協力していた喫茶店の女の二木多鶴子は、悪の一味で、ボスの外人の女であったことが分かる。

日本がまだアメリカに対して脆弱だった時代を反映していると言うべきだろう。

シネマヴェーラ渋谷


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