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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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ここでも歌われる『若者の歌』 『街に気球が上がる時』

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大学の長門裕之が、アルバイトで宣伝のアドバルーンを上げる零細な広告代理店でアルバイトをする1961年の日活作品。

同じ大学の学生だが、アルバイトでは先輩で、長門にいろいろと指示する男勝りの女学生が吉行和子。

この「かかあ天下的男女関係」と言うのは、吉永小百合と浜田光夫がそうで、それは西河克己が意図的に作り出してきたものだと言っているが、この井田探監督作品でもそうなには少々驚く。井田は、あまり評判の良い監督ではなかったが、これはましな方だと思う。

原作は曽野綾子で、脚本は新東宝等での娯楽作品を書いていた岡田達門。

           

アドバルーンを上げる時に、強風やタバコの不始末等で事故も起きるが、最後子どもたちが夜、気球の上に乗って遊び、爆発して江木俊夫少年が大けがをする。

いろいろあるが、なんとか治るようみんなで祈って歌うのが、「若者よ・・・」の『若者の歌』で、一気に恥ずかしくなった。

これは、日本共産党、民主青年同盟の歌声運動で必ず歌われたものである。

このぬやまひろしの歌の文句の「その日のために体を鍛えておけ」と言うのは革命のときに備えてではなく、戦争で徴兵されるときのためなのである。

つまり、戦争への協力の歌なのに、戦後民青の運動で歌われていたのは非常におかしいことなのである。

誰かの本で読んだことがあるが、戦時中に戦争体制に協力した人には、元左翼勢力から「転向」した連中が多かったそうだ。

逆に言えば、そうした元左翼の戦時中の体制への協力は、戦後は民主的改革の主体となったと言うのだから、事は複雑である。

ぬやまは、共産党員としては官僚的な人ではなかったようで、最後は毛沢東派として党を離れたのは非常に興味深いことである。

チャンネルNECO

 

 


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