ラピュタの開館20周年特集。
『殺すまで追え・新宿25時』は、1969年の松竹作品で、監督は京都から来た長谷和夫、脚本は宮川一郎と共同。
主演は天知茂で、新宿署の刑事、同僚が自宅でピストル自殺し、妻の原知佐子も自殺を言うが、天知は自殺とは信じられず、自分で捜査をする。課長の高野真二は、なぜか捜査の打ち切りを言い、天知は辞職して独自に捜査する。
と、新宿のキャバレーやトルコ風呂を根城にしていたやくざ佐藤允らの組織が分かり、自殺した男、高野課長らも脅されて一味になっていて、さらに原知佐子も一緒にやっていたことがわかる。
松竹にしては、テンポも描写も悪くはないが、最後の結末は当たり前すぎる。
長谷や梅津明次郎らの京都から移籍した監督は、結構頑張ったと思うが、男性スターがいない松竹ではどうしようもなかっただろう。
もう1本の『交換日記』は、横浜の高校3年生の山内賢と和泉雅子が、ノートの日記を交換し合う話。和泉の家は、元町の裏通り辺りで、親父の山田禅二は大工、母親の初井言栄は自宅で総菜上げをやっている下町の店。山内の父は清水将男、母は小夜福子でインテリで裕福そうな家である。
クラスの同級生は、小沢直好と前野霜一郎で、この時期よく日活で見た子役である。前野はロマンポルノ時代にもいた俳優だが、1976年春のロッキード事件の時、児玉誉士夫邸にセスナ機で突っ込んで死ぬことになる。
監督は森永健次郎で、適当にまとめたという感じしかしないのは困ったものだが。
交換日記は、今でいえばラインでのメッセージの交換だろうか、いつでも若者は誰かと繋がっていたいものなのである。
『交換日記』という二人の曲もあったと思うが、映画ではなし。中で和泉雅子が一人で歌うシーンがあったが、どへたで驚く。
後には二人には『二人の銀座』という大ヒットがあったのだが、それまでには相当に歌を練習したのだろうか。
和泉も適当に演じているとしか見えない。彼女は浦山桐朗の『非行少女』で熱演した後なので、気が抜けていたのかもしれないが。
彼女は何でもできる女優で、逆に決定打がなく、結局は高橋英樹の『男の紋章』の相手役に終わったということだろうか。
阿佐ヶ谷ラピュタ