1956年の日活映画。
力道山は当時大変な人気で、日活では何本も製作公開されている。3月に力道山が世界の旅に出る壮行会が日活ホテルで行われる。
堀社長の他、芦川いづみ、北原三枝など。羽田からインド航空機でシンガポールに行き、ここではキングコングと闘う。
その後、ベイルート、ジュネーブに行くが、試合はなし。パリに行くとレスリングの試合に出るが挨拶のみ。
ゲームの印象が語られ、「単純で技がない」と批評されるが、確かにキックとパンチのみの単純なゲーム。日本は、やはり相撲があったので投げ技、さらに柔道の締め技などがあったことの意味があったことが分かる。
ロンドンも市内観光のみで、試合はなく、アメリカに飛びニューヨークに着くがこれも観光だけ。
もちろん、力道山は優れたプロモーターであり、各地で対戦相手を探していたのだと思うが。
ここから車で西海岸に行き、サンフランシスコで、遠藤と共にタッグを組み、シャープ兄弟とのゲーム、もちろん勝つ。
ストッくトンでは、遠藤、エンリキ・トーレスと組み、相手はグレート東郷、ハロルド坂田、オルテガとの3人タッグ。
ハロルドは、映画の007にも出た。東郷は、その後来日して悪役を演じて有名になる。
ロサンゼルスで、シャープ兄弟に対してエンリキ・トーレスと組んで戦う。そして、ルー・テーズと再選の契約をする。
ただ、不思議なのは全体のナレーションは高橋博だが、試合のは志村正準で、これは実際の試合のフィルムはニュースで随時紹介されていて、それは志村だったためだと思う。
全体として、どこでも力道山は、子供好きの優しいオジサンを演じているのが凄い。
実際は、酒乱で暴力的な男だったのだが、表で見せる顔はいつも優しさを演じていた。
これは彼が戦前に朝鮮半島から来て、善良な日本人を演じていたことで育まれたものだったのだろうか。
「世界征服」とは羊頭狗肉だが、世界旅行だけで意味のあった時代で、今のテレビの旅番組のようなものであると言える。
衛星劇場