1976年に作られた戦争映画。以前、NHKが放映したのを見たので、二度目だが結構きちんと描かれている。
監督は、『エアーポート75』などの大型映画の多いジャック・スマイト。
山本五十六は三船敏郎だが、彼一人がハリウッドに行って撮影したようで、他は日系俳優の総集合。
タイトルは、ドーリットル空襲で、驚いて広島にいた三船が上京するが、そこは先日の「力道山映画」にも出てきたサンフランシスコの日本庭園らしい。
そしてミッドウェー海戦になるが、日本側とアメリカ側を交互に描いていく。
これを見ると、日本はアメリカの物量に負けたというのが大嘘であることが良く分かる。
空母等の艦船では日本の方がアメリカ側を遥かに上回っていたのだから。
なぜ、日本が大敗北したかは、やはり「情報」で、ここでも索敵の失敗で敵の位置を知らなかったことが敗北の大きな原因になる。
よく知られているが、太平洋戦争が始まると、日本は英語教育を止めさせるなどして敵性用語、文化の使用を禁じ、カタカナの名前も変更させた。デック・ミネは三根耕一に、野球のストライクも「よし1本」になどにさせて、カタカナを禁止した。古川ロッパも変更を言われたが、「もとが録波だ」としてロッパで通した。
しかし、逆にアメリカは日本語をはじめ日本語と文化研究を促進させたのである。
この日本語教育から出たのがドナルド・キーンやサインディー・ステイッカーなどで、彼らは戦後は日本文学研究者となるが、太平洋の島に派遣され日本軍兵士の手帖の記事の判読をやらされた。
手帖には、日本軍の装備、状況、計画等が克明に書かれていたので、米軍は対応方法の参考にした。
要は、孫氏の兵法、敵を知るのをきちんとやっていたのは日本ではなく米軍の方だったのだ。
ここでの戦闘の詳細は詳しい方が多いだろうから書かないが、魚雷と爆弾の兵装転換と時間の空費は本当に愚行だつたと思う。勿論、結果論に過ぎないが、米軍機の襲来が迫ってきたとき、なんでもよいからすぐに航空機を発進させて反撃した方が有効性はともかく、米軍艦船にそれなりの被害を与えられたのではないかと戦争の素人としては思う。
そして、一番に驚くのは、このミッドウェー海戦の大敗北を、日本では国民はおろか東條英樹首相も詳細を知らず、天皇から上奏時に初めて知ったことである。
つまり、統帥と軍政がきちんと分離していたからで、本当に驚いてしまう。米軍では、この映画でも、開戦の直前に国務省がハワイに来て作戦を調査し、軍事を政治がチェックしている。
この日本軍の官僚的硬直性と秘密主義は日本の敗北の主原因の一つだったと思う。
これの犠牲は日本軍兵士で、本当にひどいことだと思う。