女優の飯田蝶子さんは大変なシアターゴーアで、どんな芝居でも見たが、時々余りにひどいと「わたしゃ、ドブに財布を落としたような気分になったよ・・・」と言ったそうだ。
これも、1100円だったが、500円くらいの作品だった。
撮影の木村大作は悪くはないと思うが、脚本の小泉が最悪だろうと思うとやはりひどかった。こいつは、映画『雨あがる』で、三船史郎の若殿に「世の自尊心が傷ついたぞ!」と言わせたバカなのだ。
ここでも、「権力争い」、「独占販売」とか「緊張の身で正月を過ごした」などと享保時代にはありえない台詞を役者に平気で言わせている。
話は本当はきわめて単純なのに非常に分かりにくい筋になっている。
その理由は、岡田准一や西島栄俊らの本心が良く分からないからで、岡田がいきなり西島に剣を向けるなどすると、「一体何だ」と思ってしまう。
岡田と西島の殺陣はいいと思うが、「こんなに軽々と剣が振りまわせるのか」とも思ってしまう。
それに大問題は、音楽で、いいところになると『ゴッド・ファーザー』の「愛のテーマ」が聞こえてくる。
これで盗作にならないのか、心配してしまうのだ。
上大岡東宝シネマ