『酔いどれ博士』のヒットに続き作られた続編で、監督は「大映のゴダール」と言われた井上昭だが、少しも面白くない。
話は、例によって場末のスラムに医者らしい勝新太郎がいて、悪と戦うというもの。一番上の悪玉がどこかで見たなと思うと、松竹の山路義人だった。本来は会社が違うのだが、この1966年頃は、各社の規制もほとんどなくなり、別のところにも出られたのだろうと思う。もともと、松竹と大映は、1キロもない距離にあったスタジオなのだから。
話は、清川虹子が街に来て、合法的な売春の店を作り、それを暴力団が妨害し、勝新との争いになるもの。
原作、脚本は新藤兼人となっているが、本当は黒澤明と植草圭之助の原作だと思うが、良いだろう。
この映画の最大の間違いは、やはり黒澤の『酔いどれ天使』の主役で、天使を三船敏郎だと思い、勝新が三船のマネをしていることだと思う。
だが、『酔いどれ天使』の主役で、天使は、三船敏郎ではなく、医者の志村喬なのであり、本当は志村に似せて映画を作らなければいけないのだが、そうはなっていない。
いかに三船敏郎がすごかったかを表すものだが。
売春店を作る女の助手として小説家志望のまじめで性的体験のない女で悠木千帆が出ていたが、樹木希林である。
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