横浜でも、新築のマンションの建設が盛んで、その多くが元社宅である。
私は、某区で福祉課長をしている時、児童手当の受給者に大企業の職員の家族が多いのに気付いたことがある。
当時の受給制限の金額を憶えていないが、新日鉄、東芝、石川島等の企業の職員の給与が意外に低いのに驚いた。
だが、その分、社宅を低廉な料金で配備し、職員の福利厚生にしていたのだ。
近年の会計基準のグローバルスタンダード化で、こうした福利厚生は、認められなくなっているようで、社宅の売却、マンション化が進んでいるようだ。
1960年代には、社宅映画というべき作品がある。木下恵介監督の『この天の虹』である。これを見ると生活のすべてが会社の中で行われていて、驚くことに北九州市の水道は、新日鉄のもので、後に市役所に移管されたのだそうである。
元、新日鉄の幹部職員だった福富洋一郎さんの話では、入社時に、この映画を見せられていかに良い会社であるか教えられたそうである。