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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『飛べフェニックス』

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1965年のロバート・アルドリッチ監督作品。

アラブの砂漠を飛行している飛行機が整備の不良による故障と砂嵐で砂漠に不時着してしまう。場所はよくわからないが、ベンガジに行くと言っているのでリビアのことになる。

機長は大ベテランのジェームス・スチュワートで、アメリカの良心のような俳優だが、ここでは老いて古い経験でしか判断できない男を演じている。不時着時に2人が死んでしまい、残りの約10人間の対応は様々で、大尉は歩いて出ていくが、もちろんオアシスに辿り着けづに戻ってくる。

話は、ドイツ人技師のハーディー・クリューガーが、双発機を単発機に改造して飛行できるように計算し、疲労困憊の連中を鼓舞して機体を変えていくことがドラマの中心になる。

            

そのたびに、機長と対決するが、最後はクリューガーの意見が正しくて、彼も従うようになる。この二人の間を保つのが副操縦士のイギリス人のリチャード・アッテンボローなのが興味深い。この頃までは、まだイギリスは、アメリカと欧州勢を仲介する勢力があったわけだ。

もちろん、最後は改造が成功して飛行し、全員がオアシスに着く。

そのラスト近くが傑作で、ハーディー・クリューガーは飛行機の設計技師だが、模型飛行機の技師で、本物の飛行機ではないことだ。唖然とする機長らに、クリューガーは言う、

「ライト兄弟の飛行の前にゴムの模型飛行機は600メートルを飛んでいるんだ、模型も本物も原理に変わりはない。模型は操縦士がいないので大変だが、本物には水平を保つ操縦士がいる!」

リチャード・アッテンボローは、言う「ああいう計算機のような男が将来を握る」

まさにその通りになったとも言え、結構予言的な作品だった。

シネフィルジャパン

 


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