小島豊美さんの「まったりトーク」の案内が来て、講師が岡田則夫さんだったので、神保町のきっさこと言う店に行く。
基本はジャズ喫茶らしいが、ここで小島さんが主催する「よろず長屋まぅたりトーク」https://www.facebook.com/yorozunagaya/photos/gm.1980191135577447/514596265581426/?type=3
岡田さんは、多分日本で一番SPレコードを持っていると言われる方で、特に芸能や記録関係は日本一である。全部で2万枚はあるだろうとのこと!
この夜の話にもあったが、SPレコードのコレクターのほとんどは歌謡曲、流行歌だそうだ。岡田さんは元々は子供の時から落語が好きで、本郷に住んでいたので、洋服屋だった祖父に連れられて上野などの寄席に通っていたとのこと。
当時は落語の本などほとんどなく、唯一あった正岡容の本で、即魅了され彼の本やその他演劇関係の本や雑誌を読むようになり、実際の話を聞きたいとSPレコードに収録されたものを集めるようになったとのこと。
正岡は、早熟な少年で、詩や小説も書いたが落語が好きで本当に落語家の弟子になり、高座に上がりSPも出していて、まずはそれを聞く。決して上手いものではないが、私が知っている範囲では、昔の金馬に似た比較的わかりやすいしゃべり方である。
演説や講習のレコードも掛ったが、松下電機のサンマー電球の広告のSPも奇妙なものだった。ラジオでも流したようだが、電気店の店頭で再生してPRしたものでもあったようだ。その他、電話交換手の会話のレコード、算盤の読み上げなんて言うものもあるそうだが、この夜掛けたのは、大阪の小学生の読本の読み方の模範レコード。模範なので、関西弁の標準型で、言ってみれば中山千夏の台詞の抑揚に似ていた。彼女は生まれは宮崎のはずだが、すぐに大阪に来て、大変に人気の子役になる。
一番変なのが、戦時中の模範的国民の勧めのようなSPで、『海行かば』をバックに日本放送協会の和田信賢アナの荘重なお言葉。岡田さんのお話だと戦時中はよく掛けられていたもののようだ。いずれにしても、その時代がよくわかるSPである。
岡田さんも、ヤフオクも使うこともあるようだが、能率的にやったのでは仕事みたいで面白くなく、いろいろと探してやっと見つけること、その過程が楽しいのだそうだ。要は遊びであり、道楽なのだとのこと。まったくその通りだと思う。
先日、黒澤明の『明日を創る人々』の小型のポスターがあり、私も10万円までは入札したが、バカらしいので止めた。なんと21万円だった。21万円なら、その分、映画や芝居を見る、あるいは本やLPを買う方が良いと思う。