あまり評判の良くない作品だったが、少しも面白くない、非常に散漫な映画である。
東映の岡田茂社長が、にっかつの田中登の作品を見て感動し、1975年に東映京都に招聘して作った戦後、昭和22年の神戸を舞台にした映画。
そこでは、米軍の物資を横流ししたり、横取りしてのし上がった高倉健と菅原文太のギャング団がいて、朝鮮人のギャングと対立したりする。
敗戦後の闇市もの映画も結構あるが、意外にも成功したものは少なく、『肉体の門』や『仁義なき戦い』、加藤泰の『懲役18年』くらいしかないだろう。
ここでは、主人公二人の他、和田浩次、ガッツ・石松、真木洋子なども出て来るが、ドラマは盛り上がらない。
やはり、映画は監督一人ではできず、気の合うスタッフ、キャストがいないと良い作品はできないということだろう。
監督には、石井輝男のように各社で撮った才人もいるが、田中登はそれほど器用ではなかったということである。