1981年に公開された時、「ひどい」というので見なかったが、本当に正解だったことが改めて分かった。
よくこんなものを公開したものだと思う。
ともかく、主人公の斉藤淳之介と高木澪は、オーディションで決めたと思うが、どちらも少しも魅力がなく、もちろんド下手。
脚本の小林竜彦は偉そうなことを言う割にはいつもつまらない話を書くライターで、ここでもその本領が十分に発揮されている。
昔、井上梅次の本で読んだが、あるとき、彼の助監督をしていた若者が、井上に相談に来た。
内容は「今度監督できることになったが、作品が歌謡映画なのでどうしようか迷っている」とのことだったそうだ。
その時、井上は即座に「歌謡映画のような娯楽映画をきちんと作ることは実はとても難しいので、全力でやれ」と励ましたそうだ。
その通りで、一流の娯楽映画を作ることは、三流の芸術映画を監督するよりも遥かに実力とセンスを必要とするのである。
この「粗雑な作品」の中で、主人公のバカ者に、瑞穂埠頭の入口のスターダストのオーナーで、実は偽ブランド品を輸入して儲けている渡瀬恒彦は言う。
「偽物と本物の区別なんかない。偽物でも本物と信じれば、それは本物だと」
ここで、小林らは、こうした娯楽作品を作ることの言い訳を言っているように見えた。
だが、ここにあるのはどこまで行っても、簡単に偽物と分かるまがい物の映画であり、少しも本物に見えなかった。
ともかく画面が非常に汚いのにはまずびっくりした。
カメラの機材が悪いのか、ろくに晴天にならないのに撮影を強行したせいなのかは、わからない。
サザンオールスターズの曲が聴けるからと見に来た観客は、どのくらいいたのだろうか。
タイトルに、サザンオールスターズと音楽の八木正夫が、「この映画に関わったことを知られたくなかった」と出ていたが、それは本心であろう。
衛星劇場