平成の新派大悲劇とはなにか、今プロ野球の巨人軍で行われているドラマである。
父原辰徳と子菅野智之との親子の悲劇である。いや喜劇かもしれないが。
いつみても思うのだが、この菅野というのは、凄い投手だが、なぜ常に少しも面白くないと言う顔をしているのだろうか。
完封、完投しても、少しも喜びを表現することがなく、つまらないという顔をしている、まるで野球をすることが嫌いのように。
彼のいつも感情を殺している表情を見ていると、彼が原辰徳が、1億円を払った問題の女性との間の子であり、それを原の妹の子供にしたという巷の噂は本当だと思う。
噂では、1億円払った女性と原が付き合っていた翌年に菅野は生まれているのだそうなので、噂はいよいよ本当なのだろう。
そもそも問題が発覚した時、「1億円とはただ事ではないな」と思ったものだ。
世の中の半分は女であるわけだが、1億円を払うとは、一体どんなに良い女性なのかと思ったものだ。
それが、実は自分の実子問題をもみ消すためだったのか、と分かり非常にシラケた。「ああ、そうだったのか」と。
この1億円という金額の異常さは、相手が暴力団であること、もみ消すべき問題が尋常ではないことを示している。
スポーツや芸能界で、「愛人問題」など本当は大したことではない。いくらでも有名人には、グルーピーが来るのだから。
マキノ雅弘の父は、日本映画の父・牧野省三だが、彼にはもうひとり愛人との間の子、松田定次がいて、彼も時代劇の良い監督として東映を支えた。
また、新派の名優花柳章太郎には、息子の花柳喜昇がいたが、彼は溝口健二の映画『山椒太夫』でも分かるように大根役者だった。
花柳には、大阪の芸者との間の子の花柳武始がいて、新派の脇役の女形として活躍していた。
このように、きちんと問題を明らかにして、関係者に謝罪すれば何も問題はなかったはずなのである。
それを、本当の父の前で活躍しても、親子を名乗れず、喜びを分かち合えないとは、まるで『重乃井子別れ』か、新派大悲劇である。
こういう古臭さが残っている状態では、日本プロ野球は新しくなれないだろう。
こう考えると若いころは、いろいろな女性と浮名を流したが、長嶋茂雄は、こうした不始末は起こしていない。やはり長嶋は偉大だったのだ。
まあ、原は今シーズンで監督引退なので、もういいのだが。
巨人の阿部、内海、坂本らの生え抜きの選手の不振は、多分こうした原辰則監督体制への不満、シラケているのであり、ともかく今は適当にやっていって、最後で実力を出せば良いと思っているに違いない。
そう上手く行くのだろうか。去年の日本シリーズでは、ソフトバンクの監督秋山が、引退なので花道を飾らせてやろうと結束して優勝したが、原にはそうした人徳はないように見える。
やはり、監督には野球についての能力は勿論だが、人間的な魅力も必要だと思うのである。