先週の土曜日、南区大岡地区センターで、美空ひばりの講演というか、映像、音楽で彼女が「演歌の女王」ではなく、世界中の音楽を歌った歌手であることのイベントをやった。
その時、今度出す本のチラシも配布しておいたのだが、私より少し年上の男性が、チラシを持って来て言った。
「この映画、大好きなんだよ!」
もちろん、小津安二郎の『東京暮色』のことである。
夜、出版社の塚田さんとお会いしたが、「そういう人が一人でもいれば、出す意義はあるね」と言われた。
その通りで、先日亡くなられた作家の高橋治には酷評され、特に主演の有馬稲子は、役の意味され理解していないと言われたが、無名の庶民、本当の映画好きの方はきちんと作品の良しあしを見抜いているのである。
これは、『小津安二郎の悔恨 帝都のモダニズムと戦争の傷跡』として、7月末に、えにし書房から出る予定です。