4月12日の統一地方選の横浜市会の結果について考えてみる。結果は以下のとおりである()内は前回の結果。
自民 35人(30)
公明 16 (15)
民主 13 (17)
維新 9 (-)
共産 9 (5)
みんな 1 (0)
ネット 1 (1)
諸派 0 (2)
無所属 5 (3)
簡単に言えば、民主党の一人負けで、自民の圧勝のように見える。
もともと地方選挙は自民、保守派が強い、と言うよりも日本の社会で政治を志向する人間が連合したのが、自民党だと言うべきなのだが。
自民党以外に、現職議員の秘書になるなど、プロの政治家になる道が日本にはないのだから、仕方ないのである。
ただ、民主の以外にも、維新やみんなの改革で当選した議員もいるので、彼らも大きくみれば元は民主系なので、それほど変化していないのでもある。
また、共産党の躍進を考えると、実際に低投票率にもかかわらず、共産党の各候補が得票を増やしているのは、民主党に落胆した人が、今回は共産に入れたと言える。
横浜市会では、いつでも民主党(かつての旧社会党)と共産党を合計した得票数と当選議員数は大体同じだったので、その意味ではそう変わっていない。今回も、前回も両党合計は22人で同じである。
個別に見ると、非常に興味深い事実がある。それは、地域の変化と市民の意識の変化である。
今回、民主党は、鶴見区と磯子区で議席を失った。
磯子では、前議員が女性スキャンダルで辞職し、補欠選挙で自民に奪われたが、今回も回復することができなかった。
磯子は、飛鳥田元市長の地元であったように、旧社会党の強いところで、かつては労組と民間の2人の社会党議員がいた時もあった。
また、鶴見区も旧社会党の強いところで、ここも議員が2人いた時代が長かったが、今回は新人と元の二人が出て、二人とも落ちた。
この二つが意味するのは、かつての「京浜工業地帯」が完全に変ったことである。
磯子区、洋光台に石川島の、汐見台には根岸湾埋立地企業等の社宅があり、その組織票があったが、リストラと社宅の減少で基礎票が大きく減少しているのである。企業の社宅は皆売却されて大規模なマンションに代わっている。
また、前中田宏市長の系統の議員が、横浜市会には多くいたのだが、今回は2人で、しかも両者とも最下位当選だった。
彼ら前中田宏市長の系統の議員は、今は大体は維新となっているが、南区で現職の木下候補が落ちたように、大きく票を減らしており、旧中田宏系は全滅したと言える。
これも、考えれば地域の変化と市民意識の変化による結果だった。もともと前中田宏市長のような方も、最初は自民党に対抗して出てきた。
ただし旧来の社会党系の労組依存では無理とのことで、直接有権者につながる「ポピュリズム」的政策を掲げて出て来た。
日本におけるポピュリズムは、小泉純一郎が嚆矢で典型と言われてきたが、今では大阪市の橋下徹が代表になるだろう。
5月の「大阪都市構想」の賛否の選挙がどうなるのか、興味深いところだが、かなり厳しいのではないかと思う。
また、ネットは1人で、前回と同じだが、これもネットの方には申し訳ないが、存在意義がかなり薄れて来た結果だったと思う。
ネットは、旧社会党がなくなった時、急には民主に行けなかった支持者の受け皿だったのだが、もう時代が過ぎたと言うべきなのだろう。今回は、恐らくは共産党にいれたのではないかと想像される。
では、民主党は、どうしたら良いのだろうか。
今回の結果のように、かつての地域の労組依存はもう無理なのだから、地域のNPOやボランティアグループとの連携、協力を進めていくことだろうと思う。
それにしても、42%とという低投票率は、日本は幸福で良い国だと言うことなのだろうか。
この政治への無力感に付け込んで安倍政権は、着々と古臭い政策を進めているが、これも元はと言えば民主党の責任が大きい。大いに反省していただきたいと思う。