世田谷美術館でやっていた「東宝スタジオ展」に最終日の日曜日に行く。田園調布からバスで行くと、砧緑地の端にある。
東宝のスタジオは、言うまでもなく砧に作られたのが最初で、その他今はオークラランドになっている桜の第三撮影所、メディアシティの航空教育資料製作所の第二撮影所、さらに千歳船橋には連合映画撮影所もあり、みな世田谷区だった。
PCLの時からの資料が多数展示されているが、東宝は結局『ゴジラ』と『七人の侍』であり、この2本は言うまでもなく、太平洋戦争からできたものである。
『ゴジラ』のゴジラの来襲には、戦時中の大空襲の記憶があり、『七人の侍』の侍への百姓たちの竹槍での戦いは、巨大な戦力のアメリカへの日本の戦いである。
そして、東宝には多くの前衛美術家がいたことを再確認する。高山良策や山下菊二がいたことは有名になって来たが、日本のシュールレアリズムの開祖・滝口修造も企画部にいてスクリプターをやっていたのである。
会社内部で出されていた機関誌もあり、活発に活動していたのだなと思う。山下菊二のストライキ中の模様のスケッチも多数あった。
予告編が上映されていたが、三船敏郎の『宮本武蔵』で、お甲が水戸光子だったことに驚く。お通は言わずと知れた八千草薫で、今とほとんど変りなし。
予告編集の最後で、山田洋次の『小さなおうち』が出て来たので、「あれっ」と思うが、1970年代以降、東宝は、貸スタジオ化しており、他社の作品も膨大に作って来たのである。