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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『男ありて』

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プロ野球の弱小球団の監督をしている志村喬主演の映画、一応名作とされ、前に見た時はそれほどに感じなかったが、志村の暴君振り、自分勝手さは凄い。

                     

 

 

朝、便所で作戦を考えているので、小学生の息子は入れず、仕方なく隣の家のを借りる。

野球のことしか頭になく、妻の夏川静枝、娘の岡田茉利子のことも全く関心がなく、野球とチームの成績のことだけを心配している。

中には傑作なものもあり、名古屋で葬儀屋で交渉しているので、何かと思うと、「バスが霊柩車にすれ違うと勝つというジンクスがあるので、霊柩車を街中に走らせてくれ」と頼んでいるのだ。

すでに前年の1949年に2リーグになっているのに、ここでは5チームのリーグ制のようで、しかもフランチャイズ制ではなく、東京大会とか名古屋大会と言う風に全チームが集まって試合をしている。

実際には中日の二軍の選手がやってるようで、球場も昔の中日スタジアムのようだ。

球団の社長は清水元で、最下位になったら志村には監督クビを通告している。

成績はなかなか上がらないが、志村の家(井の頭線の駒場東大前あたりのようだ)に、新人投手藤木悠が下宿し、次第に岡田茉利子と仲良くなり、さらにそれも非常に気に入らない。

あるゲームで、審判の判定に抗議して退場から出場停止処分になる。

その時、志村は夏川と遊びに出る。

夏川は言う「少女歌劇が見たい。天津乙女が好きだったの」勿論宝塚のことで、昔の東京宝塚劇場での祭りのようなショーの様子も出てくる。

その後、二人はお好み焼きやに行き、束の間の至福の時を過ごす。

だが、処分が解けた知らせが来た途端、志村は遠征先の九州に行ってしまう。

家に戻り、岡田茉利子に肩を揉まれて夏川が言う言葉が凄い。

「もう42歳だからおばあちゃんだよ」

42でおばあちゃんなら、「5時に夢中」で活躍中の美保純はいったい何なのだろうか。

この映画の時、実際に夏川静枝は、46歳だったはずだが、見た目はもっと老けて見える。

そして、急に死んでしまうのだ。

急遽志村は戻り、葬式には出るが、祭場が済み寺に行く途中で、「今年の最後の試合があるから」と球場に行ってしまう。

岡田茉利子が怒るのも無理はない。

ゲームは、8回に捕手が負傷したので、志村が捕手になり、投手も藤木が出て、見事に相手の追撃を押さえて勝ち、4位となり、ビリではなくめでたしめでたし。

「来年も監督をやってくれ」と手のヒラをかえしての清水元の懇願を振り切って志村は、監督を辞め、後任には助監督の三船敏郎がなる。

そして、ネット裏では、新聞社の解説者になった志村が、まだチームをネット裏から怒鳴っている。

菊島隆三のシナリオは名作と言われているが、今見ると時代の変化に驚かざるを得ず、到底志村を「男ありて」と賛美することはできないだろう。

チャンネルNECO


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