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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『太陽のきずあと』

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地下鉄銀座線で渋谷に移動してシネマ・ヴェーラに行く。
町はクリスマスの恋人たちばかりだが、冴えない映画館に来る若者や女性がいるのには驚くべきか、当然と言うべきか。

1981年に曽根中生が日活を辞めて、東映セントラル・フィルムで撮った作品。
ここに至るには、三国連太郎・佐藤浩一親子で映画をという企画があり、それが潰れて金田賢一と新人の貞永敏の映画になったと自伝にはあった。
話は、下町の不良少年たちで、次第に金田と貞永との頭をめぐっての争いになる。
貞永は、松竹の監督だった貞永方久の息子で、背も高くルックスも良く、迫力もある。
一方で、金田の父親の流行作家・緒方拳の話もあり、この作家と編集者、クラブの女片桐夕子らとの絡みの方が劇として面白いのは、私が年取った性だろうか。
脚本は、東映の助監督に付いた連中の共作だそうで、やや繋がりの悪いところもあり、こうした不良集団物の常套として最後は仲間割れになる。
日活の有名な作品『狂った果実』も意識したそうで、最後金田は、別れて函館で元の妻江波杏子と暮らしている弟の高校生の彼女を貞永がモノにしたことから、貞永をモーターボートで撥ねて殺す。
その意味では、この映画は『狂った果実』の後日談でもある。
金田は、函館に母に会いに行き、連絡船の船内で刑事に逮捕されてエンドマーク。
結局、金田賢一が終始何を考えているのか良く分からないので、中途半端なできになっていると思う。
もう1本の『現代娼婦考・制服の下のうずき』も良く分からない作品だったが、これも主演の潤ますみが上手くない性だろうと思う。
シネマヴェーラ渋谷

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