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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『文明開化四谷怪談』

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2013年に新国立劇場で、福田善之作の『長い墓標の列』が上演されたとき、私は次のように書いた。

 

1960年代、演劇が好きな連中の中で、いかに劇作家・福田善之の人気がすごかったかは、今の人には想像できないだろう。私が、高校の演劇部に入ると、たまに遊びに来る先輩は、福田が作・演出した劇『真田風雲録』がどれほど面白かったかを語ってくれた。すでに福田善之は、新劇から離れ中村錦之助らの商業演劇に活動の場を移していたが、同時にTVドラマには役者として頻繁に出演していた。テレビマンユニオンを作る村木良彦演出、芦川いづみ主演のTBSの『陽の当たる坂道』で大学教授、NHK大河ドラマでは軍師竹中半兵衛を演じていた。そして、大学の劇団早稲田の劇研に入ると、そこは福田善之の彼単独としては処女作『長い墓標の列』を初演した劇団としての伝説が伝えられていた。1957年12月の初演の時は、なんと5時間半もかかったというが、その異常な長さにもかかわらず誰も帰らなかったほどのものだったそうだ。唐十郎から寺山修司、鈴木忠司らその後のアングラ世代は勿論、井上ひさしも『真田風雲録』には大きな衝撃を受けたと書いていた。

            

本作は、元は4時間もあったのを、井村昂が2時間20分、全2幕にしたものだが、私のように『四谷怪談』も、福田善之の戯曲も全部読んでいる人間には、ここはこうだなと分かったが、普通の人には難しかったと思う。

1幕の最後で、爆裂弾が破裂して、お岩さんの顔に傷ができた時、「これは、これで新説だ」と思った。お岩さんの傷については、毒薬の他、放射能という説もあったからだ。江戸時代に放射線があったとは信じがたいが、ラジウムはあったのだから、無理ではない。

3幕、3時間くらいにして、1幕目は、完全な筋売りとした方が良かったのではないかと私は感じました。

 


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