映画『人間の条件』を全部見て、感じるのは、俳優の多彩さである。
その点では、日本とソ連の戦闘となる「4部」は、つまらなくて、ここには最後の避難民の群衆以外に女優は出ていないと思う。ここの主役は、戦車なのだから。
5部、6部となると、女優も含めて多彩な俳優が出てきて面白くなる。
5部・6部では、娼婦の岸田今日子、さらに少女の中村珠緒、さらに避難民の中では中村美代子、北原文枝、老教師役で御橋公、石炭屋の上田吉二郎、雑貨屋で坊屋三郎なども出ている。
金子信夫、二本柳寛、石黒達也、内藤武敏や山内明らも軍隊の中の穏健派(赤と言われる)らもいるが、笠智衆と高峰秀子が出てくるのは、さすがに松竹映画である。
ソ連の収容所で通訳をする丸山など、非常に個性的な顔で、他でも見た気がするが、どこの人なのだろうか。この時期、新劇も盛んだったので、その辺の方だろうか。
6部は、富士鉄や昭和製鋼の室蘭の工場で撮影されたそうで、非常に大きなスケールの映像になっている。