黒柳徹子の『徹子の部屋』で、三人の「お母さん女優」で、池内淳子、山岡久乃、乙羽信子が特集された。
どれも面白かったが、彼女たちが母親を演じたのは、テレビで、映画ではない。
この三人の内、池内淳子と山岡久乃は、川島雄三監督の映画『花影』で、銀座のバーの女給とオーナーの役で出ていて、大変に二人とも好演している。
私は、この映画が大好きなのだ。
川島というと、『幕末太陽伝』と来るが、あれは日活の俳優、さらに助監督の今村昌平はじめ優秀なスタッフの力の所産であり、川島一人のものではない。
その点、『花影』は、東京映画という小スタジオで作られたもので、そこには川島雄三以下、カメラの丘崎宏三らの職人芸が結集したもので、大いに評価されるものだと私は思うのだ。
さて、乙羽信子だが、夫である新藤兼人との関係で語られることが多いが、私は新藤作品での主役よりも、他の監督作品での脇役のときの方が彼女の良さが出ていると思う。
渋谷実の『もず』での新橋の料理屋の女給役なども目立たないがよい演技だと言える。