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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『無頼・殺せ』

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1969年3月の日活作品、「無頼シリーズ」の最終作とのこと。

朝、早く目が覚めたので、CSをつけると「無頼」をやっているので、見る。

                

最後の40分くらいを見たが、舞台は川崎市で、例によってヤクザが対立していて、裏切りに次ぐ裏切りのようだ。

最悪の親分は、須賀不二夫であり、これが良いが、次が睦五郎で、これも悪役顔が良い。

善人は、江原真二郎で、妻は野添ひとみで、この時期五社のしばりはなくなっていたのだろうと思う。

野添の妹は松原千枝子で、当然にも渡哲也の恋人役。

右往左往する裏切り者が近藤宏で、彼が殺される前を横切っていく路面電車は、川崎の市電であり、動いている映像は非常に貴重だと思う。停車しているのでは、大島渚の『愛と希望の町』でも出てくるが。

最後、須賀と睦が彼らの店のキャバレーに来ると、フラワーズが演奏していて、睦が「ナツメロをやれ」というと、『君恋し』を麻生レミが唄うが、内田裕也はなし。

そこは、床がガラスになっていて、須賀らは女たちの下着が見えるが、鈴木清順の『野獣の青春』と同じ趣向だ。鈴木作品の美術は、横尾嘉良だが、これは川原資二で、この人は鈴木の『殺しの烙印』の美術をやっている。日活の美術が良いのは、社長が元ホテル業の堀久作だったので、室内のインテリアには煩かったのだろうか。

そこに渡が飛び込んできて、斬りあいになるが、その下に何故か水槽があり、そこで強烈な殺し合いになり、もちろん、渡哲也が須賀不二夫を殺す。

最後は、白色の埋め立て地を彷徨する五郎の孤独な姿のロング。

実に、藤田五郎の孤独さが明快なエンドだった。

 


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