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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『高原に列車が走つた』

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たぶん、日本映画史上最後の組合運動賛美映画になるかもしれない貴重な作品で、1984年。

左幸子監督、主演の1976年の『遠い一本の道』が最後だと思っていたが、今のところは日本史上最後の組合賛美映画だろう。

東映セントラルフィルムと「高原映画を作る会」で、長野県の教員等の組合。

                

軽井沢の高校に臨時として赴任してきた音楽教師・美保純は、「これで教師なの」という天衣無縫な女性である。

ところが、国鉄の列車が「午後は本数が少なくて、生徒たちは無駄に時間を過ごすので、増発をせよ」という教師の組合の運動に参加し、実現させる話で、実話とのこと。

その原因となる事件は、ある女生徒がサラリーマンと「交際」して反対方向の列車に行くのを目撃したこと。「こんな事させてはいけない」と思うのだ。

日本の学園ドラマは、『坊ちゃん』か『青い山脈』なのだが、これは「坊ちゃん」に近い。美保を坊ちゃんとは言い難いが、彼女は意外にも受け答えは上手くて自然である。

彼女は、生徒に自分の曲を作らせるが、その理由が面白い。

「田舎者が有名になるには、シンガーソングライターになるしかない。松山千春も、中島みゆきも、みな田舎者だ。だから田舎者が有名になるには、シンガー・ソング・ライターになるしかないじゃん」

結局、みなが作曲して、この発表会は生き生きとしていて大変に面白い。

国鉄の組合の連中も協力してくるが、ここには藤巻潤、斎藤晴彦、江幡高志らの渋い役者が出ている。

役者は、劇団青年座の協力のようで、初井言栄はパン屋のおばさん、西田敏行もワンカット出ている。

監督の佐伯も制作の植田も、これの後は、映画からテレビに移行したようだ。

低予算なので、文句は言いたくないが、「これでライトをきちんと使ったの」と言いたくなる画面の汚さはやや残念なことだった。男はどうでも良いが、美保と萩尾みどりだけは、もう少しきれいに撮ってやれよと思った。

国立映画アーカイブ

 

 


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