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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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ワイヤーレコーダーについて

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朝日新聞に加山雄三の回想が連載されていて、昨日は、父上原謙がワイヤーレコーダーを持っていたことが話されていた。

ワイヤーレコーダーについて、彼は「針金に録音するもので・・・」と言っていたが、本当は細い銅線に録音するもので、19世紀末に発明され、20世紀初頭には商品化されていた。

テープレコーダーの以前の録音機では、ディスク式レコードは、いくら増やしても4分くらいしかならず、両面を使っても、せいぜい8分だった。

そこで、クラシックのシンフォニーなどでは、数枚のSPを写真帳に挟んでセットとした。

それを写真帳だったので、アルバムと称した。その言でいえば、後のLPもアルバムと言ったのも本当は変なのだが。

            

さて、このワイヤーレコーダーについては、ジャズファンならよく知っているはずだ。

『ミントンハウスのチャーリー・クリスチャン』で、電気ギターの開祖クリスチャンの数少ないレコード。これはあるファンが、自分のワイヤーレコーダーをクラブに持ち込んで録音したも曲のLP版で、ジャズの世界では名盤の一つとされている。

このように使用されていたワイヤーレコーダーだが、長時間録音はできても、音質は良くなかったようだ。

ところが、第二次世界大戦末期、ドイツのヒットラーがある日、同時間帯に、別々の場所で演説し、しかも音質が良いので、連合国は、「ナチスは新兵器を開発したのか」と驚いた。

これがテープレコーダーで、終戦後米軍がこれを接収し、3M社が製品化した。

また、LPについては、ドイツ出の名指揮者ブルーノ・ワルターの要望によって、コロンビア社が、LP、ロングプレイディスクを開発した。

これには、戦時中に戦場の兵士に送るために特別に開発した「Vディスク」の軽量で割れにくい素材の開発が参考になったものだった。

いずれにしても、新製品の開発に「戦争は多大なご貢献をする」ものなのである。

このように、ワイヤーレコーダーは、音楽文化史上では重要な意味を持っものだった。

それについて、なにも詳述していない朝日新聞の定塚という記者は、音楽についてなにも知識がないのだなと思った。

以前、やはり加山の回想が神奈川新聞に連載されたときは、このワイヤーレコーダーの写真が載っていて、「さすがに上原謙」と思ったものだが。

彼は、これで台詞の練習をしていたとのことで、普通上原謙は、大根と言われているが、私は結構演技は上手いと思っていたので、その証拠だと思ったのだ。


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