これほど安っぽい劇場もないだろう。
品格ゼロ、地方自治体の文化センターでももう少し遊びや飾りがあるが、そうした無駄が一切なく、まるでオフィスビルの部屋のごときの劇場空間。
簡単に言えば、渋谷のシアターコクーンの横幅を広げたような劇場である。
新宿歌舞伎町のミラノには、東京の青少年非行の巣だったアイススケート場があったが、そこが複数の映画館になり、後にはシネマスクエアというミニシアターのはしりもあったが。
今度は高層のタワーになったが、東急も新線建設で金がないのだろうか、全国でも珍しい歴史に残る劇場建築になった。
『風と共に去りぬ』のような玄関のラセン階段がくだらないが、こうも品格のないのも困ったものだと思う。
肝心の劇の『少女都市からの呼び声』だが、唐十郎の劇の最大の魅力である「陶酔感」がどこまで行っても出てこないのはどうしたわけなんだろうか。
それでも、カーテン・コールでは、スタンディンフ・オーベンション、実に心やしい日本の観客だった。
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