画家の野見山暁治氏が亡くなられたが、記事のどこにも作家田中小実昌さんのことについて触れられていない。野見山氏の妹は、田中さんと結婚していたのだ。
「今の若い記者は、知らないのだろうなあ」と思う、田中小実昌さんは、もう20年も前に亡くなられているのだから。
私は、田中さんが書く、映画についてのエッセイが好きだった。
中でも、映画館の水飲み場がなくなるのは、お弁当を食べるのに困ると書いていて笑ってしまったものだ。
彼は、当時はまだ多数あった名画座で古い邦画を見るのが好きで、川崎の銀星座というパチンコ屋の2階にあった館にもよくいていた。
「この辺は、内藤洋子のファンが多いなあ」と書かれていて、私のことを指しているようで、ドキリとしたものだ。
昔、女優の桂木洋子が亡くなった時、朝日新聞には書かれていなかったので、黛敏郎が右翼だったからかと元新聞記者の後輩に聞いたが、「単に知らなかったのだろう」だった。
今回も、同じだろうと思った。