アストラッド・ジルベルトを下手な歌手だと書いたが、ジャズ的にみれば、彼女はトーチ・シンガーになる。
トーチ・シンガーとは、ロマンチックな曲を切々と歌う女性歌手で、片手にハンカチをもって歌うので、松明でトーチ・シンガーと言ったのだ。
有名な女性では、ルース・エッティングという人がいて、私もLPを持っている。
ただ、この人は美人のトーチ・シンガーだったのだが、実はギャングの情婦だったそうだ。
それを描いた映画『情欲の悪魔』もあり、これの主役はドリス・デイで、ぜひ見たいとおもっているのだが、入手できない。
だが、その後にも似たような人はいるもので、クロディーヌ・ロンジェなどがそうで、私は好きだったのだが。上手い歌手もいいが、下手な歌手も意外と味がある、というのが私の考えである。