女性映画人の最後の日、学研映画社作品『結婚する娘へ 父の愛』を見るが、主役の鉄鋼所で働く父親は、大久保正信さんで、初めて普通の顔を見た。工場の現場の奥には、モノレールの鉄路が見えるので、大田区蒲田のロケだと思う。
この人は、森谷司郎監督の『首』で、有名な方で、容貌魁偉な役なのだが、ここでは普通の役をやっていた。娘さんたちも知らない人達で、多分大久保さんがいた劇団の文化座の人だろうと思う。監督は、スクリプターだった城田孝子で、脚本は廣澤栄で、かなり東宝的に見える。それもそのはず、城田さんは、もともとは東宝の人だったのだ。
これの前に上映された『おなじ太陽の下で』は、女優望月優子さんの監督2本目で、黒人への差別、偏見をテーマにしている。主演の女優は、高田敏江だと思っていたら、望月さんの姪の中村雅子だった。共演の南廣が能天気で笑える。小学生たちが見学に行くのが、江の島で、ここには遊園地があったのだと知る。水族館の他にあったのか。日活社長の堀久作も当時は金があったわけだ。
午後最初の『野口英世の少年時代』は、偉人の少年時代の偉さを描くもので、一番苦手な作品。監督の関川秀雄は、まだアルコール依存ではなかった時代のようだ。