1958年の日活映画、主演は筑波久子、青山恭二、水島道太郎、監督は春原政久(すのはらまさひさ)で、筑波は、女スリであり、東京駅、地下鉄の大手町駅などが使用されている。
筑波が、ある男の財布を掏ったことから、ギャング連中に追われるようになる。
ギャングのボスは、二本柳寛で、手下にはすでに深江章喜がいる。
水島は、芸能プロの社長で、それを頼って上京してきたのがクラリネット奏者の青山だった。クラリネットというのが、時代である。サックスが、モダンジャズの花形なら、クラリネットはスイングジャズの人気楽器だった。
財布の中には、ある写真が入っていて、それへの追いかけとなり、最後は、ギャングに追われた青山が、地下鉄のマンホールに落とすのだ。写真には、水島の元妻の楠侑子とある男の姿が写っていた。
最後は、地下鉄線構内でのアクションになり、楠が二本柳を撃ち、水島が楠を撃ち、筑波と青山の二人の門出を祝して終わる。
地下鉄構内は、ロケかと思ったら、スタジオに作った70メートルの大セットとは、驚く。
見るべきは、それくらいしかなく、ジャズ、ギャング、肉体女優・筑波が出ているが、どこか古臭いのだ。
すでに石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』が、公開されているのだから、白黒の性もあるが、なんとも暗くて古臭いのだ。
時代劇の多い春原には、珍しいアクション映画だが、あまり上手くできていないようだ。
要は、作品世界の明るさこそが時代の映画である「裕次郎映画」だったこともよく分かる作品だった。
衛星劇場