私は、熊井啓は、監督としては大したことないが、脚本家としては優れているというのが私の考えである。
これも熊井の脚本で、横浜の銀行で強盗が入り、支店長が殺される。
外観は、露亜銀行で、今は某結婚式場になっている建物である。
犯人の川地民夫は、バイクで横浜駅に逃げ、特急つばめで東京駅に向かう。
警察は、彼の靴と服装を知っていて、張り込んでいるが、車内で大学生から服と靴を強奪していて、すり抜けてしまう。刑事は、水島道太郎、二谷英明、宍戸錠らである。
川地は、月島の姉の家に逃げ込む。姉は、高友子である。警察は、数年ぶりに川地が姉のところに来て、映画を見に行って、ニュース映画を見た時、急にいなくなったことを聞く。
それは、街頭録音で、いろんな人間が今必要なものを聞かれ、ある女が「それは、30万くらいの金よ」と言っている事を突き止める。
それは、言うまでもなく筑波久子で、元は川地の恋人だったが、現在は転落した女であることが一目で分かる。
彼らは、関西で麻薬の密売ルートの人間だったことがあり、それを辿って川地は関西に行き、警察官を殺して横浜に来たのだ。
そこから、新宿辺りでの麻薬ルートになり、秘密のホテルなどが暴かれる。
ガード下で、エロ写真を売っているのは、土方弘で、彼の部屋に川地は逃げ込んでいる。
もちろん、最後は無事逮捕されて一件落着。
監督の野口博史は、娯楽作専門だが、テンポがあって非常に面白い。
音楽は、松村禎三らしい。
高友子は、新東宝や富士映画にも出ていて、社長の大蔵満彦氏と結婚されているそうだ。