中学のときの運動会は普通だったが、高校3年の運動会は、午後はサボってしまった。
われわれと対立していた高校生組織の反戦高協の集会があったからだ。
午後、両国公会堂に行き、中核派の集会に出たのだ。
だが、その集会の趣旨に興味があったからではない。
松本俊夫監督の映画『安保条約』が上映されるからだった。
これは、1960年に総評(日本労働組合総評議会)の資金で作られた反安保条約の宣伝映画であった。
だが、実に驚くべき作品で、その趣旨は、「安保条約は日本の軍国主義化であり、米国への従属」というほとんど日本共産党の政策そのものだった。
さらに、アニメ等も使用されるのだが、表現が稚拙で単純なのだ。
「これが、あの松本俊夫先生の作品なの!」と思った。
この時、「眼高本当に本当にあるものだ」と思ったものだ。
因みに松本俊夫監督の最高作品は、無名時代のピーターを主演させた映画『薔薇の葬列』に違いないと思う。