1970年のイタリア映画だが、アメリカの準メジャーのアブコ・エンバシーも加わっていて、ソ連の中を最初に撮影した西側の映画だったそうだ。
1941年のイタリア、配線工のマルチェロ・マストロヤンニとお針子のソフィア・ローレンが知合って愛し合う。
そして、徴兵を逃れるために二人はすぐに結婚する。
結婚すると12日間の休暇が与えられるからで、「その間に戦争は終わるだろう」と思っている。まことに、実利的な庶民の考えが分る。
だが、結局、ソ連との戦場に送られてしまう。
そして、敗戦となり、次々と兵士が戻って来て、駅で帰還兵を迎える人波が凄いが、そこにマルチェロはいない。ただ、彼と一緒にいたという男がいて、戦場は異常な寒さでひどかったと言う。
欧州も。戦後はすぐに冷戦になったので、ソ連とイタリア間の音信もなかったのだろうと思う。
彼の死を信じないソフィアは、ソ連に行く。そこは実は、ウクライナなのだが。
彼女が、列車からある町に降りると、奥に原発の施設が見える。
ウクライナは、原発が多く、かのチェルノブイリもウクライナなのだ。
彼の写真を持って探すと、「あの家にいる」と言われ、そこに行くと、若い女性と赤ん坊がいる。
彼女は、リュドミラ・サベリーワで、映画『ハムレット』でオフェーリアを演じていて、日本でも人気があった女優である。
極寒の戦場で倒れていた彼を救い出したのだ。彼は、すべての記憶を失っていて、一緒に生活するようになったのだ。
夕方に、彼は戻って来ると言い、そこに二人で行くと列車からマルチェロ・マストロヤンニが降りてくる。
彼は、ソフィアを認めて近づいて来るが、彼女はそこを走り去って列車に飛び乗る。
ここは、ヘンリー・マンシーの音楽が高鳴るところである。
最後、マルチェロ・マストロヤンニがミラノに来て、会う場面が二回あるが、結局別れるしかない。
ソフィアも、別の男と結婚しているのだから。
これを見ると、西河克巳が言うのことが正しいのが分る。
彼曰く「メロドラマは、戦争や革命などの大事件がないと成立しない」のだ。
『風と共に去りぬ』も、『君の名は』も背景は戦争である。
現在の日本のように平和な時代となると、メロドラマは「難病」にしかないことになることがよく分る。
NHKBS