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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『薄化粧』

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1985年の松竹映画だが、製作に映像京都が入っている。彼らも、この頃は勢いがあったのだが、今はなく、その場所だった大映京都撮影所もない。

太秦中学校になっていて、入口に石碑が建っているだけである。

話は、実話だそうだが、殺人と脱獄をした男で緖形拳が演じる。彼が演じた殺人犯と言えば、今村昌平の『復讐するは我にあり』が有名だが、これはよく似ているが、少し劣るだろう。

冒頭に、木造長屋を爆破して全速で逃げる緖形が出てくるが、実はこれが最後の犯罪なので、筋の展開としてやや混乱する。

彼は、浅利香津代の妻の他、何人もの女と関係し、浅野温子、宮下順子、藤真利子らとの濡れ場が見所だろう。中では、藤真利子がとても良いと思う。

                                                           

だが、この映画の最大の見所は、四国などの奥地の飯場等の、当時の日本の下層社会の実態だと思う。

俗に、美術で一番難しいのは、昭和初期以降だと言われている。明治、大正は、物が少なく、もう良く知っている者もいない。

だが、昭和初期だと、内外に物が増え、またこの時代を知っている人もいるので、大変なのだそうだ。

この辺は、美術の西岡善信の腕の見せ所だったと思う。

当時の下層社会では、身分も明かさずに彷徨できることができたのだと改めて知る。

こういう人間は、江戸時代からいて、宮本常一によると「世間師」などと言われていたそうだ。

刑事の大村崑がとても良い。

衛星劇場

 

 


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