これは、昔から見たいと思っていた作品だった。「映画評論」だと思うが、新人監督特集で「ひどく古い」と書かれていたからだが、本当にひどい作品だった。
タクシー運転手の大木実は、夜中道路に飛び出してきた女・城山順子に遭って、急ブレーキで止まるが、女は足に怪我をする。
同情した大木は、彼女を自分の下宿に連れてくるが、これが相当にボロで、1960年にこんな家があったのかと思う。そこには、やはり会社の同僚の大泉滉もいるが、独身の二人は同じ部屋にいる。こんなことがあったのかと思う。
女は、なにかはっきりしない女で、何をするでもなく、結局大木に頼っていて、最後は結婚することになる。
そこに、ヤクザ風の男・諸角啓二郎が現れて、城山をあるバーに世話したとき、彼女の義兄に世話料として3万円を渡したが、彼女はすぐに店を辞めてしまった。
「俺の顔が潰れたので、3万円を寄こせ」と大木に言う。
大木は、会社からすでに結婚のために金を前借りしており、同僚の織田政雄らからも借りるが足らない。
富士山の近くの故郷に行くが、そこでは軍の基地に田んぼが接収されて金はないと父に言われる。
母は、それでも餅を持って行けと大木に渡す。
約束の日までに金が出きず、ついに大木は、タクシーに乗った際に、「これを上げるから金をくれ」と運転手に餅を差し出すが、運転手は拒否して争いとなり、首を絞めてしまう。
部屋に戻ってきた大木は、憔悴しているが、女は気にせず鼻歌を唄っている。
そして、下宿の近くで大木は、刑事に逮捕されるの時の刑事の言葉、
「あいつは死なないかもしれないぞ・・・」
これでは、題名に反するじゃないかとあきれた。
さて、主演の大木実は、松竹から東映に行き、やくざ映画で活躍した。
女優の城山順子は、元は新東宝で、その後、ピンク映画の女優になった。
監督の池田博は、この後、母校の日大芸術学部の先生になったとのこと。
この程度の先生で生徒に映画を教えられたのだろかと思った。
衛星劇場