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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『金門島にかける橋』

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昔の合作映画には、ろくなものがないが、これもその一つだろう。

1962年、台湾の中央電影との合作作品だが、時代設定は1958年になっている。

                 

台湾の金門島に、貨物船が入ってきて、その船医が、石原裕次郎で、彼は4年前に日本の敬愛病院の医師だった頃を思い出す。朝鮮戦争の負傷者が、病院に運びこまれていて、手当をしているが、恋人の姿を求めてきた麗春に会う。華春を演じたのは、台湾の女優・華欣で、酒井和歌子に似ていて、すこしきつくした感じだ。

恋人をなくして傷心の彼女に、裕次郎は惹かれてしまう、彼には、恋人の芦川いづみがいるのだが。

また、裕次郎は、戦争で死んだ父の友人で製薬会社社長三津田健の助力でドイツに留学して医師になり、芦川はその娘なのだが。空襲で両親をなくした裕次郎は、戦争を憎んでいるという設定になっている。

また、裕次郎は、病院の院長と共に、ある政治家の脳腫瘍手術をするが、腫瘍ではなく脳梗塞であり、手術が失敗したことを広言してしまい、病院を辞め、地方の病院等にいたが、「狭い日本は嫌になった」として船医になったのだ。

領海を越えて密漁をしたために中国側(当時の言い方で言えば中共軍)からの攻撃で船が沈没し負傷した台湾人船員を助ける。そこには、華春の弟の山内賢もいた。

その後、いろいろあるが、裕次郎は華春と一緒になり、日本に戻ろうと決意する。

この辺の裕次郎、華欣、芦川いづみ、二谷英明らの関係はやや混乱していて煩わしい。

最後、裕次郎と華欣は、金門島に戻るが、そこでは中共軍の攻撃が激しく行なわれていて、華欣は死んでしまう。

裕次郎は、「戦争を止めろ」と呟きつつ、華欣の死体を抱いてエンドマーク。

監督の松尾昭典は、日活で舛田利雄に次いで石原裕次郎作品を沢山に作った人で、抒情的、あるいはサスペンスのよい監督だった。

晩年は、テレビの「大江戸捜査網」などを作っていた。

関係ないが、宝塚家劇団の演出家柴田有宏氏は、松尾の弟とのことだ。

 

 

 

 

 


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