戦前から何度も作られている『坊っちゃん』だが、あまり知られていない版だと思う。
監督は番匠義彰、主演は南原伸二(宏治)、有馬稲子、伊藤雄之助、伴淳三郎。トニー・谷などでなかなかの適役である。
筋は、原作どおりで進むが、驚くのは、かなりの部分を松山周辺で撮影されているらしいことだ。
最後の、松山中学と師範学校との喧嘩のシーンは、河原で100人近くでやっている。
だが、いずれにしても注意して貰いたいのは、夏目漱石は、この坊っちゃんのような単純明快な男ではな異ことだ。
むしろ、洋行帰りのキザな赤シャツのような人間だったことだ。
その意味では、坊っちゃんのような男は、漱石のあこがれだったと思うのだ。
衛星劇場