1957年の東映だが、今では絶対に作られない映画である、鯨の映画なのだから。
1960年代には、鯨映画は結構あって、大映の『鯨神』、日活の『荒い海』などがあった。
現在の欧米の反捕鯨運動下では、鯨映画はまずできないだろう。
鯨というと、すぐに言われる給食の鯨の竜田揚げだが、私は給食で食べた記憶がない。
その性か、私は別に鯨が好きでも嫌いでもない。
もちろん、食べたことはなんどかある。野毛にも鯨を出す店もあるが、食べたのは渋谷である。
宮城の鮎川漁港の話で、捕鯨船での捕鯨の様子から始まる。
佐野周二が砲手で、鯨を射止めて港に戻ってくる。
「船長、船長」と言われているので、砲手で船長なのか。「地獄船」と恐れられている。
そこに船員の高倉健がやって来て、砲手として会社で佐世保から移転して来たとのこと。
彼の兄は、捕鯨船で死んでいて、その責は佐野だとのことだ。
さらに、小宮光子も来て、バーに勤めることになるが、もちろん健さんに惚れる。
当時、小宮は、東映東京にも少ない肉感的女優で、多数の作品に出ていたが、自殺したとのこと。
佐野の船が故障して、ドックに入っている間、佐野に反感を持つ船員と高倉との対立が始まる。
その中で、「鯨まつり」が行なわれ、パレードがあり、銛打ち大会が行なわれる。
そんなものあったのか、と思うが、映画なので、一応許せる。
最後、佐野と高倉は和解し、猟に出ていくところで終わり。
監督の津田不二男は、元は日活だが、戦時中に滿映に行き、敗戦後は戻って来て東宝に入る。
1950年東宝から東映に移るとなっているので、やはりストライキとも関係があったのだと思える。
東宝から東映に移籍した人は多く、関川秀雄、小林恒夫などいる。
津田は、東映がヤクザ路線に移行した中で、教育映画になったようだ。