なんともすごい題名だが、中身も凄い。
監督は江崎実生で、脚本は山崎厳だが、構成は小川欽也となっていて、実際は小川のものだと思う。
色魔とは、自動車修理工の藤木孝で、次から次へと女をものにしてしまう。
女優は、火鳥こずえ、乱孝寿、美矢かおるらで、要はピンク女優のオンパレード。
監督以外のスタッフも、岩橋秀光、黒沢治安など旧新東宝の人たち。
日活は配給で、制作は青山プロとなっているが、児井英世のもので、彼が青山に住んでいたからだらしい。
これが、1968年8月に作られていたとは驚きで、同時上映は野村孝監督、高橋英樹主演の『鮮血の賭場』で、これは見たことがあるのだ。こうしたピンク的な作品は、3本立ての1本として上映されていたのだと思う。
ある女性との関係で、黒人のハーフと知合うが、変だなと思うと山本昌平。
彼も、有名な男優で、調べると劇団七曜会出身とのこと。ここは、少しマイナーな新劇団だった。
そこに刑事の高品格が出てきて、二人に手錠を掛けてしまう。
二人は、手錠に繋がれたまま逃亡し、なんと伊豆高原に行ってしまう。
徒歩で伊豆まで行くのは大変だと思うが、要は当時日活のゴルフ場等があったので、そこを使用したのだろう。
鉄道があるので、その線路に手錠の鎖を乗せて切ってしまうが、こんなことできるのだろうか。
二人はバラバラになるが、彼らは別れない。
そして、最後は高級な別荘に入る。
いるのは、花柳幻舟で、その娘も二人にやられてしまう。
ここに高品以下の警察が来て、二人を射殺するが、藤木は山本の胸の中で死ぬ。
この色欲の果てと言うには、非常に変だが、藤木は有名なホモ・セクシュアルだったので、そのことを示唆しているのだろうか。
1968年に、こういうヤケクソ的な映画を作っていたとは驚きだが、3年後にはロマンポルノ路線になるのも無理はないのか。
チャンネルNECO