ユーチューブには、いろんな情報があるもので、東宝映画に出ていた俳優大久保正信さんの略歴が分った。
それは、「メディア・あどりぶ倶楽部」という元関西テレビにいた難波さんいう人の対談で、元朝日放送の小関プロデューサーの叔父なのだそうだ。
小関さんは、慶応大学演劇研究会にいて、本気で役者を目指していたが、ある日、母親から、
「叔父さんのように、本当に赤貧洗うがごとしの生活になる覚悟はあるのか」と言われて、役者の道は諦めたとのこと。
この母親の2歳年下の男が、大久保さんなのだ。
彼は、悲惨な中国での戦争から戻って、今後はやりたいことをするとのことで、演劇をやることになり、文化座に入った。
ただ、お二人の話で、文化座を左翼的劇団と断じているのは違う。
文化座は、井上正夫のところにいた佐々木隆が作った劇団で、いわゆる「中間演劇」の劇団なのだ。
今は、死語になった中間演劇だが、これは新劇と商業演劇の中間を目指すというもので、純粋な左翼演劇ではないのだ。
文化座からは、丹波哲郎、山村聰、山形勲らが出ていることでも、「左翼劇団」とくくるのは間違いだと思うのだ。
大久保さんの姿は、森谷司郎監督のデビュー作映画『首』で、東大法医学教室の雇員として出てくる。
容貌魁偉な方である。