俳優の蟹江敬三が亡くなられていたそうだ、69歳。
蟹江と言えば、やはり桜社最後の公演の1973年12月の『泣かないのか、泣かないのか、この1973年のために』が忘れられない。
見るものには大変感動的な芝居で、演劇評論家の渡辺保さんも、終了後演出の蜷川幸雄に、その旨言ったが、蜷川は答えず、結局この公演を最後に桜社は解散する。
その後、蟹江敬三といえば、日活ロマンポルノで大活躍する。
長谷部安春監督の『暴行』シリーズで、ほとんど台詞がなく、行動だけのアクション映画として簡潔で素晴らしい作品だった。
蟹江は亡くなったが、去年文学座で彼の娘、栗田桃子の芝居を見た。
かつての桜社の劇の蟹江や石破蓮二らの真剣さを思い出せせるような演技で大変に感動した。
今後は、栗田桃子の芝居に期待しよう。
以上のように書いて、調べてみると、蟹江が出たのは、長谷部安春監督では『犯す』だけで、以降の『暴行』シリーズは林ゆたからであることがわかった。
だが、蟹江敬三で憶えているということは、それだけ彼の印象が強かったということだろう。
ご冥福をお祈りする。